小日向文世(豊臣秀吉役)

97年『毛利元就』、98年『徳川慶喜』、04年『新選組!』、07年『風林火山』、12年『平清盛』以来、6度目の大河出演。

役者として非常に遅咲きな人。大河ドラマでも、『毛利元就』の近習役から、西周(『徳川慶喜』)、佐藤彦五郎(『新選組!』)、諏訪頼重(『風林火山』)、源為義(『平清盛』)と、次第に大きな役を任されるようになる。とはいえ、諏訪頼重も源為義もそれぞれ諏訪氏と源氏の棟梁ながら大物としては描かれておらず、そういう先入観もあってか、今回の天下人・秀吉の役にはどうだろうという気もした。

しかし蓋を開けてみれば、天下人が持つ表の顔と裏の顔をごく自然な形で、それでいて余韻を残す形で演じ分け、場の空気を一変させてしまう、「明るく振る舞ってはいるけど、実はそりゃ冷たいお人」(寧々)をそのまま体現したかのような秀吉に。現代ドラマや映画では「裏の顔」で定評のある役者なので、それがはじめて大河ドラマで発揮されたというだけのことなのだろうか。

鈴木京香(寧々役)

大河ドラマは5度目の出演で、90年『翔ぶが如く』、93年『炎立つ』、00年『葵 徳川三代』、04年『新選組!』以来、12年ぶりとなる。

『新選組!』で恋人役の芹沢鴨を演じた佐藤浩市も、なぜか大河は『新選組!』からご無沙汰しているが、二人とも三谷幸喜作品の常連で、2013年の映画『清州会議』でも共演している(上記の小日向や大泉洋も)。その『清州会議』でも『新選組!』でも、鈴木は女性陣でもっとも重要で難しいと思われる役を任されており、それだけ三谷の信任が厚いということなのか。

三谷は役者の個性に合わせた「あて書き」をすることで知られている。今回の寧々は今のところ、『新選組!』のお梅や『清州会議』のお市と正反対なキャラクターになっている。お高く止まっていたお梅やお市に対して、気取りのない母性的な寧々。京言葉のお梅と名古屋弁の寧々というのも対照的。いずれにしても両者とも「美味しい役」といえるだろう。

長澤まさみ(きり役)

大河ドラマは、06年『功名が辻』、09年『天地人』以来、3度目の出演。

鈴木京香とは対照的に、大河で「美味しくない役」を与えられてきたのがこの長澤まさみ。『功名が辻』の小りんは架空の人物、『天地人』の初音も半架空の人物(信繁の姉・まつ?)で、いずれも重要な役どころではあったものの、いずれも忍びという設定で、どこにでも現れては口を出す、俗にいう「ウザキャラ」であった。

そして今回のきり役。ヒロインに抜擢されて関係者も汚名返上(?)をと期待していたはずだが、またしても「ウザキャラ」としてすっかり定着。が、「大坂編」に入ってからはレビューでも少し触れたように、ドラマになくてはならない存在になりつつあり、「ウザカワ」との評価が定着する日もそう遠くはないはず……?

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