主人公:徳川家康(1542年 – 1615年)・徳川秀忠(1579年 – 1632年)・徳川家光(1604年 – 1651年)
脚本:ジェームス三木 音楽:岩代太郎 主演:津川雅彦・西田敏行・尾上辰之助
初回:22.6% 最低:14.5% 最高:22.6% 最終:20.3% 平均:18.5%
秀忠の成長物語として
S:主人公はタイトルから一応、徳川家康(津川雅彦)、秀忠(西田敏行)、家光(尾上辰之助)の徳川三代になる。でも、家光の出番は物語の後半に限られ、また秀忠の死をもって物語はほぼ終結するため、実質的な主人公は家康と秀忠の2人ということに。
M:ただ、物語の開始は太閤秀吉薨去の1598年からと、家康にとっても57歳から75歳の晩年しか描かれていない。
S:うん。したがって、本作の最大の見どころは秀忠の成長ということにも。
M:秀忠の武将としての成長、将軍としての成長、父親としての成長……西田敏行はこれらを見事に演じ分けていた。最後まで視聴者を飽きさせなかった。
S:それは全話を通しての視聴率の推移にも表れており、家康と家光に挟まれて注目されることの少なかった秀忠という歴史人物に興味を持たせた意義は大きい。
M:大河ドラマの視聴率って、後半になればなるほど下がっていく傾向があるけど、それは本作には当てはまらない。「関ヶ原」に次ぐ見せ場である「大坂の陣」と「家康の死」が終わってから上昇傾向に入るんだから不思議。
S:第32回「家康の死」が8月13日で、シドニーオリンピックが9月15日~10月1日。
M:8月、9月はオリンピックモードで大河なんて……となりそうだけど。
S:アトランタ(1996年)、アテネ(2004年)、ロンドン(2012年)、リオデジャネイロ(2016年)の時の『秀吉』『新選組!』『平清盛』『真田丸』は期間中視聴率も減退傾向。一方、北京(2008年)の時の『篤姫』はむしろ上昇傾向に。
M:視聴率ってわからない。でも『葵 徳川三代』の前半視聴率低迷した原因はなんとなくわかる。
数々のハードルを超えて
S:徳川の人間を主人公に据えながら対豊臣や対朝廷への政治工作が露骨に描かれていたり、徳川の視点のまま「奸賊」として語られることの多かった石田三成(江守徹)が長所も短所も織り交ぜつつなるべく公平に描かれていたり、この勧善懲悪のわかりやすさを排した客観性は、難解な台詞回しとあいまって視聴者を遠ざける要因にもなったはず。
M:そう、まず言っていることがすんなり頭に入ってこなかった。それでリアルタイムで見ていた時は数回でギブアップ。古文の知識がある程度身についた(?)時に見たら面白くて。
S:古文の知識がそれほど必要になるとも思わないけど、見続けるにはいろいろとハードルが高いことは確か。
M:1978年の『黄金の日日』でも普通の日本語シャベッテルヨ。
S:うん、同じジェームス三木脚本の『独眼竜政宗』(1987年)でもフツーの日本語喋っている。
M:あと役者さんがオジサンだらけでこれじゃ若いオンナノコがミナイヨ。
S:女優さんもベテランが多かった。
M:ヒロインの位置付けとなるお江の岩下志麻、その姉・淀殿の小川真由美、お初の波乃久里子はそれぞれ当時60歳前後。
S:お江などは出産シーンも用意されていたことから、そこに拒絶反応を示した視聴者も少なからずいたはず。
M:小川真由美(当時60歳)の淀殿と保坂尚輝(当時33歳)の大野治長の濃厚なラブシーンはもはや語り草に。
S:『平清盛』の藤原頼長(山本耕史)と平家盛(大東駿介)のラブシーンに匹敵するインパクト。
M:えええ。
S:その他にも見るものを限定する要素は多かったものの、この作品が日本の歴史ドラマの中でもっとも優れたものの一つであることには変わりない。
主要キャスト
徳川家康 津川雅彦
徳川秀忠 西田敏行
徳川家光 尾上辰之助
結城秀康 岡本富士太
松平忠吉 寺泉憲
松平忠輝 阪本浩之
徳川忠長 高杉瑞穂
保科正之 浜田学
本多正信 神山繁
本多忠勝 宍戸錠
榊原康政 清水紘治
井伊直政 勝野洋
大久保忠隣 石田太郎
本多正純 渡辺いっけい
土井利勝 林隆三
石田三成 江守徹
島左近 夏八木勲
蒲生郷舎 竜雷太
前田利家 北村和夫
毛利輝元 宇津井健
上杉景勝 上條恒彦
宇喜多秀家 香川照之
大谷吉継 細川俊之
島津義弘 麿赤兒
小早川秀秋 鈴木一真
福島正則 蟹江敬三
黒田長政 山下真司
池田輝政 磯部勉
細川忠興 佐々木功
藤堂高虎 田村亮
加藤清正 苅谷俊介
伊達政宗 すまけい
淀殿 小川真由美
高台院 草笛光子
豊臣秀頼 尾上菊之助
片桐且元 小林稔侍
大野治長 保坂尚輝
真田幸村 西郷輝彦
お江 岩下志麻
千姫 大河内奈々子
和子 酒井美紀
お初 波乃久里子
孝子 中江有里
春日局 樹木希林
水戸光圀 中村梅雀
筆者
-
趣味:競馬
得意分野:財務会計
好きな言葉:中庸の徳たるや、其れ至れるかな
最新記事
- 2017.10.08ドラマ『おんな城主 直虎』主要キャスト一覧(終盤)
- 2017.08.21ドラマ『おんな城主 直虎』の政次と『白夜行』の亮司の最期
- 2017.08.17映画8月26日公開予定の映画『関ヶ原』について
- 2017.08.14古典シューマンの最高傑作を探し求めて(2)ベートーヴェンの衣鉢