M(1)でも触れた三成、「武将といえば~」のCM動画でも話題になっているけど、今回の『真田丸』ではどんな風に描かれるのか……。

S:第14回「大坂」では、直江兼続(村上新悟)が「堅苦しいところはあるが、実に頭はキレる。ああ見えて熱い男よ」と。

M:歴代大河ドラマの中で一番熱い三成といえば……『葵 徳川三代』(2000年)の三成(江守徹)?熱いというよりは少しヒステリックな感じもしたけど。今回の三成はヒステリックさや神経質さは今のところあまり出ていない。

S:第6回「多国籍軍」で、家康(津川雅彦)は「あれ(三成)は豊臣家ご奉公の亡霊に取り憑かれ、主君のためなら平然と泥をかぶる男よ」と。 これは最大級の褒め言葉。『葵 徳川三代』の三成像はTBSの大型時代劇『関ヶ原』(1981年)を踏襲するもの。よく似ている。

M:原作の司馬遼太郎『関ヶ原』は世の三成のイメージを大きく変えたそうで。昔の大河では、『黄金の日日』(1978年)以外のほとんどの作品で典型的な悪玉として描かれ……。

S:『葵 徳川三代』と同じジェームス三木脚本の『独眼竜政宗』(1987年)の三成(奥田瑛二)も酷かった。NHK新大型時代劇『真田太平記』(1985年)の三成(清水紘治)も昌幸(丹波哲郎)に酷い言われよう。

M:『秀吉』(1996年)の三成(真田広之)は……。

S:『秀吉』の三成は一味違った。秀吉の夢を継ぎ、「豊臣の子」として泥をかぶるだけでなく、暗殺でも何でもできそうな三成。『葵 徳川三代』の三成にはそれができなかった。個人的には、第38回「黄金の茶室」の最後は大河屈指の名場面。あの三成で関ヶ原を見たかった。

M:『真田丸』第15回「秀吉」では、大谷吉継(片岡愛之助)が「理が立ちすぎるところがあって、人を立場で計ってしまう」と三成を評する。人を立場で計るというと少し語弊があるけど、これも秀吉の立場になって人を計ってしまうということなのか……。

S:人を立場で計ってしまうだけの人物なら、五大老筆頭の大大名である徳川家康に喧嘩を売るようなことはしないはず。「豊臣の子」として堂々と家康には喧嘩を売ってもらいたい。

M:『葵 徳川三代』以降の大河の三成といえば。

S:『利家とまつ』(2002年)の原田龍二、『功名が辻』(2006年)の中村橋之助、『天地人』(2009年)の小栗旬、『江』(2011年)の萩原聖人、『軍師官兵衛』(2014年)の田中圭。

M:ついでに『葵 徳川三代』以前は ……『太閤記』(1965年)の石坂浩二、『春の坂道』(1971年)の中村敦夫、『黄金の日日』(1978年)の近藤正臣、『おんな太閤記』(1981年)の宅麻伸、『徳川家康』(1983年)の鹿賀丈史、『独眼竜政宗』(1987年)の奥田瑛二、『春日局』(1989年)の伊武雅刀、そして『秀吉』(1996年)の真田広之。

S:『天地人』と『軍師官兵衛』は両極端な描き方。『天地人』では三成=善、家康=悪。『軍師官兵衛』では官兵衛=善、三成=悪。完全に勧善懲悪の世界。

M:『天地人』は初めからそういうノリだったからあれはあれでいいのかなと思ったけど、『軍師官兵衛』は正統派?を謳っていただけになんかガッカリ。

S:最初から脚本の構成がシンプルだったからある程度は予想できた。『独眼竜政宗』は悪の三成に対して政宗(渡辺謙)も偽悪的に振る舞うことでなんとか緊張感を保っていたけど、『軍師官兵衛』は悪の三成に対して官兵衛(岡田准一)は恫喝くらいしかできず後はなされるがまま。

M:この三成がまた物凄く無能に描かれていたものだから、その無能にやり込められる官兵衛ってどれだけ無能なのだろうと、二重にガッカリ。

S:『軍師官兵衛』の三成は歴代大河ドラマ最低の三成かもしれない。

M:ということは、その三成にコテンパンにやられた『軍師官兵衛』の主人公は歴代大河ドラマ最低の……あ、『利家とまつ』『功名が辻』『江』の三成もあまりパッとしなかった。

S:『利家とまつ』の三成は近年の大河でもっとも印象が薄い。『江』の三成は近年の大河でもっとも情けなく、『功名が辻』の三成は近年の大河でもっとも立派に見えた。『毛利元就』(1997年)で主役も経験した中村橋之助が演じていたからかも。でも歴代大河ドラマ最高の三成は『秀吉』の三成。*個人の感想です。

M:*故人の感想といえば……。

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