ベルグルンドによる2度目の全集

20世紀の交響曲を代表する名曲といえば、マーラーの第9番やショスタコーヴィチの第10番ということになるのかもしれない。ただ、このシベリウスの第4番も負けてはいない。シベリウスの番号付きの交響曲は第7番までの全7曲あり、初期の第2番がその親しみやすさから抜けて有名となっている。その第2番の10年後、1911年に第4番は完成された。この頃、シベリウスの作曲技法は頂点に達しようとしつつあり、その結晶でもあるこの作品は親しみやすさという点において第2番の対極に位置する。一方で、病による精神的危機から乗り越えようとしていた時期とも重なり、聴く者に訴えかけるその緊張感はシベリウスの作品の中で随一といってもよい。

ベルグルンドによる2つの全集が名盤として定着している。この2つの盤、演奏解釈の面で変わるところはほとんどないのに、聴いた印象はかなり異なってくる。それはオケの響きによるものが大きく、2度目のヘルシンキ・フィル盤(’84-’87)は少しザラついた感じがするのに対して、3度目のヨーロッパ室内管盤(’95-’96)はツルツルと滑らか。前者からは人肌の粗さを感じ取ることができる。EMIの録音の中では生々しい。その他には、マゼール&ウィーン・フィル(’63-’68)が変幻自在で新しい発見があり、ヴァンスカ&ラハティ響(’96-’97)が緻密かつダイナミックな解釈で新機軸を打ち出し、これは同じフィンランド人のベルグルンドの名盤に並ぶ評価を確立しつつある。

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筆者

S水
S水
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