シェリング盤

前期ロマン派のヴァイオリン協奏曲を代表する名曲。ベートーヴェンのニ長調とブラームスのニ長調とともに「三大ヴァイオリン協奏曲」とされる。日本ではCMなどでもよく使用されており、日本人にとってもっとも馴染みのあるヴァイオリン協奏曲といえるかもしれない。1838年に着想を得て、推敲を重ねつつ完成されたのは1844年。1847年に38歳で早死した作曲家にとっては晩年の作品となる。若い頃からしっかりとした音楽を書き続けたメンデルスゾーンの作品の中でもとりわけ完成度は高く、その絶妙なバランスで配された甘美なメロディとほどよいパッションで多くの人々を虜にしてきた。

無駄の少ないこの曲を極限まで無駄なく演奏したのがハイフェッツ&ミュンシュ指揮ボストン響(’59)だとすれば、一時期話題になったS=ソネンバーグ&シュワルツ指揮ニューヨーク室内響(’87)は曲の構造美を崩してでも自らの感性のままに歌い上げる。どちらを美しいと感じるかはその人の感性による。そんななか、シェリング&ハイティンク指揮コンセルトヘボウ管(’77)は多くの人が美しいと思える過不足のない演奏をしている。オケの音も美しく、PHILIPSの録音もそれをよく捉えている。コーガン&マゼール指揮ベルリン放送響(’74)は先入観なくこの曲をまるでショスタコーヴィチの第1番のように演奏しており、そのオフマイクな録音もあって異形のスケールを感じさせる。

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筆者

S水
S水
趣味:音楽鑑賞
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